浸炭焼入れとは?

浸炭焼入れとは?

浸炭焼入れは 、炭素含有率の少ない金属の表面に炭素を拡散浸透させ、表面に硬化層を作り、それを加熱することで硬化します。主に炭素源のガスや粉末に浸漬し、高温(900~950度)で熱します。また、浸炭焼き入れは、通常の焼入れと同様に、焼戻しを行います。

HRC58~63位のかなり硬い表面硬さを得ることが出来、

表層部は硬く内部は柔らかい状態にして、耐摩耗性と靭性の両方を兼ね備えます。

製品の例: シャフト, 歯車, 刃物

→摩擦や転がりを受ける部品、疲れにも強くなる

 

浸炭焼入れと相性の良い材質は、SCM415, SCM420です。炭素量が低い“肌焼き鋼”と呼ばれる材質のものの表面を硬くし、内部の靭性を保つことができます。SCM435SCM440に浸炭焼入れは出来ますか?と疑問に思うかと思いますが、通常焼入れが適切で、浸炭焼入れを施すと炭素量が多いため、内部の靭性が損なわれてしまいます。

 

硬化層深さ

 

浸炭焼入れによる硬化層深さは、一般的に0.20.3

0.6mm以上の深い硬化層が必要な場合は、焼きならしも行う必要があります。

 上でいう硬化層深さとは、有効硬化層深さのことを指します。JISの限界硬さに規定されていますが、HV550です。要するにHV550の硬さのところ迄が、焼きが入った硬さにしましょう、という決まり事です。

 

硬化層深さにはもう1種類あり、全硬化層深さというものがあります。

有効硬化層からさらに深くへ辿っていくと、素地の硬さと同じ硬さになる点があります。それが全硬化層深さです。

 

余談ですが、

有効硬化深さの測定は、端材を使用して、断面を切ってロックウェル硬度計で測ることが出来ます。(余分に1つ製品を製作することになるので、費用をご相談する形にはなります)↓↓

 

 

 

硬さ測定基準

ロックウェル硬さHRRockwell Hardness

ブリネル硬さ HBBrinell Hardness

 

ビッカース硬さ HVVickers Hardness

 

防炭処理


シャフトもの等のねじ部は、防炭処理(一部浸炭払い)する場合もあります。

炭素量が入って、靭性が失われ、ぼきっと折れやすくなってしまうからです。

また、後工程に溶接がある場合においても、防炭が必要になります。

炭素量が高くなるので、溶接による高温で歪みが生じやすくなってしまいます

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