A6061 T6処理 とは? / 技術コラム / By admin 目次1 T6処理とは2 A6061-T6の硬度3 調質記号の種類4 T6とT651の違い5 A6061の特徴6 ベトナム事情Q&A T6処理とは T6 処理とは、ピーク時効処理というもので、溶体化処理後、180℃~220℃で焼戻しを8時間ほど行います。硬さが一番出るタイミングまで焼戻しを続けます。溶体化処理は、500℃程で熱してから、水にずぶ入れして急冷する処理方法です。アルミ合金の組織を均一にして、成分の偏りを低減する効果があります。 焼戻しを施すことで、人工的に時効硬化を生じさせる特徴があります。時効硬化とは、時間の経過に伴って析出物が形成されることで、硬度が向上する現象のことです。 A6061のT6処理では、アルミ中に固溶したCu(銅)、Mg(マグネシウム)を析出させることで強度・硬さが向上します。これが時効硬化になります。 アルミ合金は主要添加物元素の種類により、『熱処理合金』と『非熱処理合金』に分類されます。熱処理合金は、アルミニウム中に常温では固溶限界以上となる合金元素を添加し、高温で充分固溶させた後冷却し,時間とともに微細な金属間化合物を析出させ、強度を増大させた材料です。 A6061-T6の硬度 A6061-T6の硬度は、HB95前後。時効硬化によりA2017に次ぐ強度が得られます。 目安値ですが、参考までにHB比較HB(ブリネル硬さ)A6063T5: 65 < A5052: 68 < A6061 T6: 95 < A2017: 105 < A7075:160 調質記号の種類 アルミ材が圧延(製造)されるまでの工程では異なる条件があり、A6061材と言えば、一般的にはT6処理の状態ですが、 調質(質別)記号は全16種類もあります。以下 6061-Oアルミニウム6061-T1アルミニウム6061-T4アルミニウム6061-T42アルミニウム6061-T451アルミニウム6061-T4510アルミニウム6061-T4511アルミニウム6061-T51アルミニウム6061-T6アルミニウム6061-T62アルミニウム6061-T651アルミニウム6061-T6510アルミニウム6061-T6511アルミニウム6061-T652アルミニウム6061-T89アルミニウム6061-T94アルミニウム T6とT651の違い T6処理は溶体化処理したあと人工時効硬化をするもの。T651は溶体化処理したあとに、引張り加工を行い、さらに人工時効硬化を行うもの。500℃程から急速に冷却する際、材料内に閉じ込められた内部応力を除去するために引張り加工を行います。 A6061の特徴 【耐食性】 A6061は、添加剤であるマグネシウムとケイ素以外の不純物元素が最小限に抑えられているため、酸化被膜が形成されやすく、アルミ合金のなかでも優れた耐食性を発揮します。 【伝導性】 少量の銅元素を含むため、アルミ合金の中でも比較的高い伝導率を示します。※アルマイト処理によって、酸化皮膜が作られているものは電気を通しません。 【切削性】A6061の切削性は、アルミ合金の中でも良い方で、加工中の切りくずが少なく、容易にブレークします。 【降伏強さ】 A6061T6 は、約 270 MPa の降伏引張強度と 310 MPa の極限引張強度を示します。 A5052 と比較すると、約 193 MPa の降伏引張強度と 226 MPa の極限引張強度なので、 A6061 がA5052 よりも強いことになります。 【溶接性】溶接は可能です。溶接箇所は通常 6061-T4 の特性であり、強度が約 40% 低下します。材料を再加熱処理して、全体的に -T6 に近い焼戻しを復元することができますがコスト高。溶接が必要な場合は、溶接性の高いA5052が適切です。 【アルマイト性】 A6000台は、A5000台とともにアルマイト性も良い。A2000系やA7000系のアルマイト性は△ ベトナム事情Q&A Q:A6061は入手可能ですか?A:角材・丸材ともに可能です。その他のアルミ材質の対応表です。※在庫状況にもよるので都度ご確認下さい Q:ミルシートは発行可能ですか?A:材料メーカーからミルシートを出すことが可能です。 Q:加工可能サイズを教えてくださいA:マシニング~2,000mm、旋盤~φ300です。 Q:アルミ溶接は可能でしょうか? A:協力会社にて対応可能です。