アルミ合金

アルミニウムの比重

アルミ合金 は、軽合金と総称されます。アルミニウムの比重は2.71で、銅や鉄の1/3です。軽量で、優れた耐食性、加工性、装飾性を有し、モーターバイクや家電製品から航空機部品に至るまで多くの機械加工用の部品に活用されています。

 

アルミニウムの耐食性

アルミニウムは、空気中の酸素と結合しやすいため、表面に薄い自然“酸化皮膜”(不働態皮膜)を生成するので、錆びにくくなります。酸化皮膜は、酸化アルミニウムからなるバリヤ層、ポーラス層で出来ています。陽極酸化や塗装などの表面処理を施したアルミニウム製品に対して、“ハダカ使用”と呼ばれることもありますが、とは言え酸化皮膜に覆われた状態であり化学的に安定しています。

 

 

//厳密に言えば、標準電極電位という金属の酸化のしやすさの熱力学の指標があり、この標準電極電位の低い金属程酸化しやすいのですが、アルミニウムの標準電極電位は-1.68Vでこの値は実用金属の中ではMgに次いで低く、酸化皮膜の保護がなければ、酸化しやすいです。

 

アルミニウムの種類

アルミ合金は主要添加物元素の種類により、『熱処理合金』と『非熱処理合金』に分類されます。熱処理合金は、アルミニウム中に常温では固溶限界以上となる合金元素を添加し、高温で充分固溶させた後冷却し,時間とともに微細な金属間化合物を析出させ、強度を増大させた材料です。

一方、非熱処理合金は非熱処理と呼ばれますが、焼なましや安定化処理のような熱操作は行われます。軟化し、冷間加工(圧延・引抜・鍛造・プレスなど)により製造されます。

 

熱処理合金

2000系(Al-Cu系)・・・Cu(銅)を添加し、高強度を実現。代表的な材料A2017はジュラルミンとして知らる。銅を多く混ぜるほど耐食性は劣る。

6000系(Al-Si-Mg系)・・・SiMgを添加し、耐食性を向上。強度、耐食性とも良好。

 

7000系(Al-Zn-Mg系)・・・Al-Mg系に亜鉛を加え、アルミ合金の中で最も強度が高い。航空機部品などに使用される。

非熱処理合金

1000・・・アルミニウム純度が最も高いアルミ。代表的な材料:A1100AL純度:99.00%以上)、A1070AL純度:99.70%以上)、ALは比重が低いので電気伝導性に優れている反面、強度は低い。

3000系(Al-Mn系)・・・代表的な材料はA3003や、さらに強度を増加させたA3004:ドアパネル材やアルミ缶容器に使用される。

4000系(Al-Si系)・・・融点が低い(<550℃)特徴からろう材として用いられる。建築用パネルなど。

 

5000系(Al-Mg系)・・・代表的な材料A5052や、ほとんど成分の変わらないA5056。非熱処理合金としては最も優れた強度を持ち、耐食性、溶接性も良好。A5056は引抜丸棒として一般的な材料。

規格(アルミ合金)

規格記号は以下のようになります。
規格にはアルミニウム記号、合金系・合金番号、形状・製造条件記号、調質記号があります。
・アルミニウム記号
 頭文字のAになります。
・合金系・合金番号
 合金の種類はこの番号の頭の数字により決まります。
・形状・製造条件記号
 P:板、円板
 PC:合せ板
 H:箔
 TW:溶接管
 FD:型打鍛錬品
 FH:自由鍛錬品

 BE:押出し棒

 BD:引抜き棒

 など
・調質記号
 F:製造のまま
 O:焼きなまし
 H:加工硬化
 W:液体化処理
 など

例えば、A6061BD-T6(調質記号)の場合

Al-Mg-Si系のアルミ合金で、質別はT6。
T6処理とは、溶体化処理の後に焼戻しを行う熱処理のことです。溶体化処理→焼戻し(180°~220°くらいの低い温度)でアルミ中に固溶させたCu(銅)、Mg(マグネシウム)を析出させることで強度・硬さが向上します。これにより、A2017に次ぐ強度が得られます。T4T651などの処理方法もありますが、A6061は一般的に多くの場合でT6処理が施されています。詳しい調質の種類は下記のリンクで紹介されています。

https://www.nihonshinkan.co.jp/dcms_media/other/siryou_arumityousitu.pdf (参照: 日本伸管)

 

※溶体化処理は、500℃程で熱してから、水にずぶ入れして急冷する処理方法です。アルミ合金の組織を均一にして、成分の偏りを低減する効果があります。

 

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