SS400 S45C 違い
SS400, S45Cは、製造業でよく使用される代表的な鉄鋼材料です。比較表を基に、分かりやすく解説していきます。
土台として鉄鋼について先ず触れておきます。鉄鋼とは、鉄(Fe)を主成分とする合金であり、炭素を0.02%以上1.7%以下含有するものです。そこに、その他の元素(クロム、マンガンetc)を添加して特性を変化させる事ができます。また、炭素量が0.02%未満のものが”鉄”に分類され、炭素の含有量によって分類されます。
SS400, S45Cはそれぞれ[SS材][SC材]の一種で、呼び名は以下の通りです。
SS⇒ Steel Structure → 一般構造用圧延鋼材
SC⇒ Steel Carbon → 機械構造用炭素鋼
炭素量
SS400は炭素量が0.15~0.2%であり、低炭素鋼に分類されます。
SS材は、後に続く数値 (400)が引張り強さの下限を表します。引張り強さによって規定されており、炭素量は明確に規定されません。一方でSC材は、SとC間に挟まれる数字が炭素量を規定します。S45Cの場合、炭素量は0.45%です。 ←単位は1/100読み
炭素量によって大まかな特徴があり、加工後の熱処理や表面処理のパターンがあります。炭素量が少ないと、硬度や強度が劣ります。炭素量が多いと、硬度は出ますが、衝撃に弱く脆くもなります。
引張り強さ
SS400:400~510(N/㎜2)
S45C :570以上(N/㎜2)・・・焼きならし時
引っ張り強さはじん性や粘り強さやとも言われます。竹のようなしなやかさをイメージすると理解しやすいかもしれません。一般的には、炭素含有量が高く硬く強い材料は、じん性が失われるため、強度の限界を超えれば折れてしまいます。そのため、SS400の方が靭性に優れていると言えます。
硬さ
硬さは炭素量と比例しており、
S45Cは炭素量が多い分、SS400に比べ硬く耐久性が高くなります。
また、硬いから切削性に優れています。 → 硬いほどボロボロと砕けやすくなり切削性が増します。SS400も切削しやすい材料ですが、S45Cはさらに切削性が高いです。
汎用旋盤くらいで大差は出ませんが、例えば、マシニング加工で特にチップ式のドリルだと切削性に差が出るレベルです。
溶接性
溶接にはSS400の方が向いています。溶接の適性は炭素量と比例しており、SS400とS45Cの炭素量の違いからそれぞれの適正に差が出ます。溶接箇所は数千度を超える高温を発生するので、S45Cの場合、焼きが入るので(炭素量が多いため)硬くなると同時に脆くなってしまいます。その結果、接合部分がねじれたり、歪んだりしてしまいます。低炭素鋼にあたるSS400の場合は、高温下でも焼入れによる影響が少ないのです。
また、SS400では炭素量が低い分、酸化しにくく溶接の品質が高くなります。酸化によって溶接部の強度が低下することがあるため、酸化しにくい材料は溶接時の強度や品質を維持しやすくなります。
炭素量が低いとどうして酸化しにくいのか?
理由は、炭素含有量が少ないために酸素との化学反応が起こりにくいからです。
酸化とは、金属表面の酸素との反応によって起こる現象です。炭素含有量の多い
鋼は酸化しやすい傾向があります。炭素含有量が低いため酸素との反応が抑制
され、酸化が起こりにくくなります。
熱処理
熱処理にはS45Cの方が向いています。
S45Cは、成分規格が明確(SS400では上述したように、炭素量に幅がある)なので、熱処理による加工性が高いです。高温で加熱してから急冷することで硬度を高めることができます。
一方、SS400は通常焼入れ処理は施されず、表面硬度を向上させる場合は、
表面処理(例えば表面に硬質なコーティングを施す、電気めっき等)が一般的です。
SS400は硬さの規定がないので、熱処理がしづらいうえ、
炭素量が低いため、焼入れ処理をしても硬度が十分に高まらず、耐摩耗性や耐久性が向上しません。
ベトナム事情Q&A
Q1. SS400とS45Cの価格差は?
ベトナムでの材料調達価格に差はありません。
Q.2 プレート材、丸材ありますか?
プレート材はどちらも常に入手可能です。SS400の丸材はなく、主にS45Cの丸材に代替させて頂きます。
Q.3 ミルシートは発行可能ですか?
ミルシート(メーカーから出る材料証明書)については、発行が可能です。
Q.4 SS400, S45Cの材料はどこの国が産地ですか?
韓国からの輸入材が多く、日本産もありますがコストダウンを図るなら指定無い方が適切です。
Q.5 JIS規格材はありますか?
JIS規格材(日本の工業規格材)に限らず、ANSI(アメリカ規格)も入手可能です。
Q.6 ミガキ材は入手可能ですか?
ミガキ材の入手は最低でも200㎏~注文となり単品では入手する事が難しいのが現状です。しかし、S45C 丸材【φ12, φ14等】使用頻度の高いサイズは常に在庫があります。
日本では、SS400FB(Flat Bar)の入手は容易ですが、ベトナムでは、SS400FBの在庫がありません。なので、現状としては、近い厚みの材料からフライスで切削をしています。
黒皮材とミガキ材の2種類があり、基本的には、ミガキ材とは対象に、通称黒皮, ”ミルスケール”と呼ばれる酸化被膜が残った状態からの切削になります。 ミガキ材は、”冷間引き抜き材(Cold Bar)”の通称で、冷間圧延により出来るものです。
SS400/S45C加工品
6面研磨、Lot100以上
テーパー部Ra1.6
//100分の1